2015年11月29日

黄金のアデーレ 名画の帰還

黄金のアデーレ.jpg
ナチスに奪われた叔母の肖像画の返還を求めた老婦人を描いた物語。
クリムトの「黄金の女」にまつわる真実が描かれます。
これが実話というのが素晴らしい。
ナチスの迫害から逃亡するユダヤ人の姿が悲しいです。
或る意味で贖罪の物語でもありました。
個人的にはかなりおすすめ。
ヘレン・ミレンの気品のある美しさがたまらないです。

アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I

グスタフ・クリムト
posted by 森山樹 at 08:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 史劇(映画)

2015年11月19日

夏達『長歌行(7)』


唐代初期を舞台とした作品です。
現在は突厥や回紇あたりの異民族たちの世界が中心。
個人的には初期の展開が大変好みでありました。
房玄齢や杜如晦,魏徴,尉遅敬徳あたりはもう出ないのかな。
主人公の長歌が李建成の娘という設定も良かった。
李世民が此処まで物語に絡まないとは思わなかったけれど。
そろそろ物語は終盤とのこと。
如何なる帰結を見るのか楽しみにしています。

李建成
李世民(唐の太宗)
房玄齢
杜如晦
魏徴
尉遅敬徳
タグ:中国史
posted by 森山樹 at 23:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 史劇(漫画)

2015年11月14日

久慈光久『狼の口 ヴォルフスムント(7)』


ハプスブルク家の圧政に対するスイス森林三邦の戦いを描く作品です。
折しも2015年11月15日はモルガルテンの戦いから700年目。
そのあたりは次巻で描かれることになりましょう。
今巻はハプスブルク家の圧倒的な強さが印象的。
ヴォルフラムを倒したとはいえ,そう簡単には独立が出来ません。
そしてレオポルト1世の冷徹な指導者ぶりも素敵です。
此処から如何に森林三邦が逆襲するのか楽しみです。
やはり最後はヴァルターに活躍して欲しいものですが。

ウィリアム・テル

レオポルト1世
シュヴィーツ
タグ:欧州史
posted by 森山樹 at 10:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 史劇(漫画)

2015年11月12日

大西巷一『乙女戦争(5)』


フス戦争を舞台とした得難い作品の第5巻。
中東欧史好きにはたまりません。
ヤン・ジシュカの悪辣非道ぶりが格好いい。
ヤン・イスクラやヨハン・フニャディの出番が多いのも嬉しいです。
バルバラ・ツェリスカの物語への回帰も楽しみ。
今巻ではアダム派及びピカルディ派との内紛といった色合いが強い。
苛烈な戦いが続くのはやはり辛いものがあります。
シャールカには幸せになって欲しいけれどなあ。

フス戦争
ヤン・ジシュカ
バルバラ・ツェリスカ
タグ:欧州史
posted by 森山樹 at 21:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 史劇(漫画)

2015年11月10日

名古屋市博物館「魔女の秘密展」

〈2015年歴史展感想3展目〉
魔女の秘密展.JPG

魔女の秘密展
会場:名古屋市博物館
会期:2015.07.18-09.27
観覧料:¥1,300
図録:購入

 名古屋市博物館で開催の「魔女の秘密展」を鑑賞しました。魔女という存在に焦点を当てた博物展というのは珍しい。というか,多分国内での開催は初めてなのではないかなあ。如何なる方向性での展示か,期待と不安が入り混じりましたが,蓋を開けてみれば,存外に魔女について真摯に考察を行う展示が殆どで大変楽しいものがありました。尤も,その歴史背景を鑑みると目を背けたくなるような人類の罪も直面しないといけないわけですけれども。それを踏まえても意義深い歴史系の博物展だったように思います。

 展示は全部で4章の構成。「信じる」「妄信する」「裁く」「想う」と魔女に対する態度の変化を歴史的時系列順にした展示は面白かったです。≪モグラの前脚のお守り≫や各種の≪護符≫を観ているだけでも楽しい。初期の魔女が伝統の担い手であったことを実感します。≪魔女のナイフ≫あたりの格好良さも素晴らしい。また,特に魔女との関連性は薄いのですが,中世欧州の武器が幾つか展示されているのも楽しかった。ハルバードなどの長柄の武器はやはり魅力的であります。そして,今回の展示で一番期待していた≪魔女に与える鉄槌≫が鑑賞出来たのは収穫でした。これはハインリヒ・クラーマーによる魔女の犯罪を体系的に記したもの。異端審問の際に使われたのですが,これが普及するに至ったのがグーテンベルクの活版印刷が契機というのがやり切れません。文明の進歩が却って悲劇を拡大させる見本というべきでありましょう。アルブレヒト・デューラーの版画≪空を飛ぶ魔女≫はこの時代の魔女の定義を全て備えたもの。即ち,この作品に描かれている魔女が中世欧州の魔女の姿ということになります。「裁く」はその名の通りの魔女裁判を題材とした章。拷問に使われた器具などの展示が中心となりますが,≪棘のある椅子≫や≪フランケンタールの斬首用剣≫などには息を呑んでしまいます。魔女裁判で処刑された女性が遺した手紙の朗読などはやり過ぎ感さえ覚える程でありました。「想う」は近代以降の魔女の印象の変化が興味深い。最後は現代日本の漫画家による魔女を描いた作品があったのも楽しかったです。

 魔女という存在の歴史的推移を俯瞰出来る興味深い博物展でありました。特に信仰としての魔女や魔女狩り・魔女裁判に纏わる展示が充実していたのが印象的です。惜しむらくはドイツとオーストリアの展示内容が偏っていたということくらいかなあ。特にアメリカでのセーラムの魔女裁判はかなり興味のある事象だけに扱って欲しかったところではあります。しかしながら,魔女という題材を過不足なく扱うという非常に新規性のある博物展であったのも事実。このような博物展がもっと増えて欲しいものであります。図録の充実ぶりも大変素敵でありまして,思わず久しぶりに購入してしまいました。
posted by 森山樹 at 23:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史展感想